2020年2月23日日曜日

政治、環境、テクノロジー「Der Plan」

ドイツの怪しいエレクトリクポップグループDer Planが36年ぶりのライヴ・イン・ジャパン!!



という事でしたが、1回だけの公演はチケットがあっという間に完売してしまい、、、結局ライブには行けませんでした。

しかし!!次の日に「JaPlan:Live in Japan進化ストリップショー」という映像作品の上映とトークショーがあるので行ってきました。

この「JaPlan:Live in Japan進化ストリップショー」というのは36年前に来日した時に制作された映像作品です。

・(PV)デア・プラン Der Plan JaPlan
https://youtu.be/MeNN_BTGDyY

ちなみに映像の音源はCD化されています。

●Der Plan / Japlan



このいかがわしいジャケットデザインがイイですね!!Der Planはヴィジアルが非常に面白くて大好きです。

さてさて、この映像作品の「進化ストリップショー」ですが、内容としては石から植物になり昆虫になりロボットへと進化していき、進化するに従って一枚づつコスチュームを脱いでいく、、という感じです。ロボットになるんだけど、最終的に一番大事なのは人間のハートだよ!!みないなメッセジーがあります。





このコスチュームとかヴィジアルがいちいちヘンテコで素晴らしいです。

トークイベントでは、なぜ(36年前に)自分達が何故日本に招かれたのはよくわかんなかったけど、ホテルについてテレビをつけてCMに怪獣とか出てきて、それで分かった!!と言っていました。

メンバーの一人は日本の大怪獣シリーズなどの映画が大好きで、それは政治的な問題が必ずベースにあるからで、例えば一番新しいシン・ゴジラについては、ゴジラは自然災害のメタファーで、それに対して政府や官僚などがどういう動きをするかを描いているからだ、、みたいな事を言っていました。

また、彼らにとって日本(特に東京)はとてもモダンに見えていて、モダンなビルとかがいっぱいあって、ベルリンとかもそんなビルが沢山できればイイなと、、と思ったそうです。

そう言われるとヘンテコなビルがニョキニョキ生える東京という街は確かに面白いかもしれませんが、個人的には(ベルリンは行った事ないけど)ヨーロッパの落ち着いた街並みは羨ましいなと思ったりします。

テクノロジーについては、明るいイメージを持てた最後の年代が80年代で、これからは反テクノロジーみたいなのも増えていくんじゃないか、とか、ヨーロッパでは虫などの大量死が発生していて、環境についてより考えていかなければならないんじゃないかというような発言もありました。

やっぱりエレクトリクポップグループだけあって、テクノロジーについての考え方は面白い所がありますね。また環境については日本にはないシリアスな場面を垣間見たように思いました。

あと、彼らは音楽を移動手段のように考えていて、それは目的があって、そこに何で行くには何でもいいけど(例えば他のバンド活動とか音楽シャンルの違いとか)目的は決まっていて、それは政治的な事柄だ。というような発言をしていて非常に興味深かったです。

Der Planはポップなんだけど抽象的なこと(例えば政治のあり方とか進化とかテクノロジーについて)などを具体的に表現するアレゴリー的なアプローチが非常に興味深いし、共感できるし、そこに面白さがあるなと思いました。


トークイベントの内容をうる覚え的に書きましたが、音源やヴィジアルついて、また改めて書きたいなと思います。






2020年2月16日日曜日

脱逸した美学!「The New Blockaders」

前回Metgumbnerboneという謎のマニアックな匂いがプンプンするバンドを紹介しましたが、それに参加しているリチャード & フィリップ兄弟のバンド「The New Blockaders」を改めて聞いてみました。

The New Blockadersは知っている人にとっては説明不要のバンドですが、とにかくノイズらしいノイズの聞かせてくれるバンドです。なので「ノイズってどんな音楽ですか?」と聞かれたらとりあえずThe New Blockadersを聞いてもらったりしています。そして大抵の人はドン引します。

●The New Blockaders / Live At Hinoeuma



このアルバムはCD版を持っていますが、アナログ版はピクチャー盤になっていてメチャクチャカッコイイ!!



別のライブの様子ですが、、、改めてライブの映像見ると超カッコイイ!!!!

・The New Blockaders 'Live At Sonic City' (Official Promo)
https://youtu.be/nhllpu6Sy0Q

スーツを着た覆面の人達がハンマーでピアノ叩いてます!!これカッコ良すぎる!!

また、ノイズをレコードとか擦って、非常にアナログな方法でノイズ作っているんですね!!これはもう職人芸です。

「Live At Hinoeuma」はガラスの割れたような音や、粗大ゴミをひっくり返したようなザラザラしたノイズが延々と続きます。音楽というより音です。しかし、コレがよくよく聞いてみると、なんか非常に深みがあるというか、厚みのある音で、大音量で聴くとエクスタシーを感じてしまうような陶酔感があります。


●Bladder Flask / One Day I Was So Sad That The Corners Of My Mouth Met & Everybody Thought I Was Whistling



個人的にはThe New Blockadersの前身のバンドBladder Flasknの方が好みです。

コレは、色々な音を細かく刻んでコラージュしたような音楽で、とてもユーモラスで、音もゴチャゴチャと変化していくので、聞いていてヘンテコで面白いです。

The New Blockadersの乾いたようなザラザラしたノイズ感はありませんが、音の構成がしっかりしていて、飽きる事なくばっちり聞かせてくれるので、やっぱり技量が高いなと思わせてくれる内容です。

・Bladder Flask - Musical Behind Head
https://youtu.be/_e4_dPsf2JM


●The New Blockaders / Changez Les Blockeurs



コレはファースト・アルバムです。
Bladder Flaskに比べると音のアプローチが全く変わっていて、ザラザラとした乾いたノイズ音になっています。

・The New Blockaders - Changez Les Blockeurs Part 1 (Excerpt)
https://youtu.be/ZdNS0HrmLPc

オリジナルは1982年なので、今聞くと非常に素朴な感じがしてコレはコレで味わい深いというか、妙にレトロな印象を受けます。


●Organum & The New Blockaders / Pulp



コレは以前Organumの時にも紹介したアルバムですが、ファースト・アルバムのような味わいもレトロ感もザラザラ感もなく、ただただ最高に騒がしいアルバムですが、やっぱりなんか音が非常に分厚いというか、濃いというか、とにかく最後の最後まで迫力があります。

・New blockaders_organum- pulp pt 1.wmv
https://youtu.be/VzngL_wChQ4

OrganumとThe New Blockadersが共作することで、ちゃんと変身しているというか、OrganumともThe New Blockadersと言えない新しい何かに生まれ変わっていて、ノイズという文脈の中でも非常に重要な作品なんじゃないかと思います。


●Masstishaddhu ‎/ Shekinah



最後にMetgumbnerbone、The New Blockadersなどと絡みのあるMasstishaddhu。

アルバムはコレ1枚しかないみたいですが、前回紹介したMetgumbnerboneのエセっぽい民族音楽とは打って変わり、こちらは非常に技巧的で呪術的なミニマル&サイケデリック・ミュージックで、民族音楽の魔術的な陶酔感を拡大解釈して作ったような音楽です。

・For the dead and unborn
https://youtu.be/5yeZa4ldBGs

Metgumbnerboneも民族音楽の要素を取り入れていますが、その解釈の違いなんかを比較して聴くのも面白いと思います。


前回Metgumbnerboneの繋がりでThe New Blockadersと、Masstishaddhuもプラスして紹介しました。

The New Blockadersは自分の好みのツボにハマる訳では無いですが、やっぱり聴くとカッコイイなと思います。また、The New Blockadersとか、ハーシュ・ノイズのような音楽って、普遍的ではない脱逸した美学みたいのがあって、それが分かる人には分かるけど、分からない人にとってみれば難解なものでしかない。そんな印象も受けたりしました。


2020年2月9日日曜日

エセ民族音楽!!「Metgumbnerbone 」

変な人達のアルバムを買ってしまいました。

●Metgumbnerbone / Anthropological Field Recordings For The Dispossessed



中心人物のJohn Mylotteは「Sir Ashleigh Grove」という名義で作品を発表しており、どうやら一部の人達の間ではカルト的な人気あるらしく、また、The New Blockadersの兄弟も参加しているというマニアックな匂いがプンプンしますが、そんな事は置いておいて自分が引っかかったのは、、、

このジャケットのお面!!

これは、パプアニューギニアの泥人間と、



スターウォーズの登場人物たちを、





合体させたけど、お金が無くて安く仕上げた!!という感じがします。



もうこのジャケットの写真が気になって気になってついに買ってしまいました。

さてさて、肝心の中身の音楽ですが、これがまたジャケットの写真のようにエセ民族音楽みたいなノリです。

・Metgumbnerbone - Dreun (side A)
https://youtu.be/lUDmoCxBQ4I

でもエセ民族音楽なら、ザ・レジデンツのエスキモーというアルバムがまさにそれを意図して作ったアルバムですが、コレは多分そいう事を意図した訳でもない。

また、パプアニューギニアの泥人間がそのままジャケットの写真に使われたザ・ポップ・グループみたい自分達なりに民族音楽を消化した訳でもない。

かと言ってフィールドレコーディングのようなライブなものでもない。

民族音楽に対しての妄想や憧憬だけで作ったような音は、ある意味倒錯していますが、そこが異端というかシュールレアリズムに近い感覚として楽しめるなと思いました。

民族音楽が好きだけど、自分達は決して民族音楽を作ることは出来ない。そいうジレンマを意図したかどうかは分かりませんが、それがそのまま表現されたしまったような音楽のように感じました。



2020年2月2日日曜日

虹色のライブ音源!!「Jimi Hendrix」

「THE 39 CLOCKS」、「Doubling Riders」に続き、今回もCDのボックスセットです。

以前「いつ聴いてもカッコイイ!「Jimi Hendrix」」という記事で「ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イーストのコンプリート版が発売される!!」と書きましたが、それを買ってしまいました。

●Jimi Hendrix / Songs For Groovy Children: The Fillmore East Concerts




これ、年越しライブみたいな感じで、1969年12月31日の1回目と2回目のコンサートと、1970年1月1日の1回目と2回目のコンサートの内容が収録されています。

感想を一言で言ってしまうと、ボリュームといい内容といい、圧倒されます!!

前回も書きましたが、とにかくギターがエキセントリックです!!

クリアなギターの音から、一気に歪んだ音に変化して、そして爆音ノイズみたいな音に変化したり、早弾きみたいな音に変化したりと、虹色のように変わっていく演奏を5枚分のCDというボリュームで楽しめるのが、このライブ・アルバムの醍醐味なのかなと思います。

あと「ジミ・ヘンドリックス」というより「バンド・オブ・ジプシーズ」としての色が強い感じがして、バンドとして何かを作り上げようとしていたような印象を受けました。

手軽に楽しむなら前回紹介した「Live at the Fillmore East」でも十分楽しめると思いますが、ジミ・ヘンドリックスをより楽しみたい!ジミ・ヘンドリックス大好き!!という人には、ボックス盤の方が断然に楽しめると思います。そいう意味ではファン向けなアルバムだと思います。

改めてジミ・ヘンドリックスを聞くと、やっぱりずば抜けた才能を感じます。